ドキンッ






ドキンッ






ドキンッ






ドキンッ



エレノアは広間を目指し走る。



_きっ…緊張した!胸が痛いくらい鳴ってるっ…凄く近くで皇帝の顔見ちゃったっ!!こ、恐かった!!!



長いスカートをなびかせながら真っ直ぐ走っていると、広間の大扉の前に立つゼノが見えた。


「あ、いたいた!姫様!」

「ゼノ!」

「何処に行っていたんですか!探しましたよ!」

「ごめんなさいっ」


息を切らしながら後ろを振り向くエレノアを見て、ゼノは首をかしげた。


「どうかしたんですか?」


「う、ううんっ!なんでもない!」

「あ、そうだ!姫様がいない間に決定した事があるんです!」

「え?」

「明日、一人ずつ皇帝の目の前で特技を披露する事になったんですよ!」


「えぇ!?何それ!!」

「皇帝にアピールするチャンスが皆に与えられたんですよ」

「そ、そんなの用意してないじゃない!」


「普通の姫なら、何かしら特技の一つや二つお持ちでしょう?」

「そんな!困る!!」


思い浮かぶのはさっき会った皇帝のしかめ面だ。


不安しかない。




「どうしよう…」

「明日まで時間があります!お部屋で考えましょう!」

「はぁああ…」


ため息しか出ないエレノアだ。