「ニャー」

ビクッ!!!

突然の鳴き声に、エレノアは慌てふためいた。

「び、びっくりしたぁ」

「ニャー」

後ろの扉から、淡いグレーの毛並の猫がすり寄ってきた。

「ここの猫ちゃん?」

「ニャー」

エレノアの頬に自分の顔をすり寄せる。

「フフっくすぐったいよ」


慰めるつもりはないだろうが、猫は何度も甘えるようにエレノアにすり寄ってきた。


「あれ…猫ちゃん?目が…」


抱き上げよく顔を見てみると、エメラルドの瞳が片方しか開いていない。

もう片方は閉じている。


「どうしたの?怪我したの?生まれつき?」


「ニャー」

そうだよ…

と言っている気がした。

「そうなんだ…少し痛むのかな?」

「ニャー」

時おり表情が変わるのが見てとれた。

「そう…」


エレノアは頭を優しく何度も撫でた。

「痛みといつも戦っているのね…頑張ってるのね」


そう言って優しく優しく猫の頭を撫でてあげた。


「いつか…この痛みが無くなりますように。元気になりますように」


エレノアは猫の額にゆっくりキスをして猫をきゅっと抱き締めた。

「ニャー」