「クルーガ、どうしよう・・私・・私のせい・・」


パチン。


クルーガはミネルアの額にデコピンした。


「痛い・・」


「あいつが本気出したってことだろ。いいじゃん」


「でも・・」




二人は街の方へと歩きだす。


「あいつ本気で好きなんだなー。お前の事」



ドキッ

直前にされたキスの感触が唇を伝った。



「そんな・・だからって居なくならなくても」


「なあ?昨日あいつの力見たんだろ?」


「え?見たけど・・・」



にやりと笑いながらクルーガは言う。


「秘密な。あいつの家ももう無い」


「え!?」


「あ、俺が言ったってバラすなよ?」


「う、うん」


「先の戦争の事は本で読んだろ?」


「あの、世界大戦?」


「そうだ」


「ルアード帝国とデルファン王国の最期の大戦だ。凄まじいマナのぶつかり合いだったらしい」


「うん・・」


「その時に滅んだ王家の生き残りなんだよ。あいつは」


「え、えええ!?」



心臓がいくつあっても足りない。

ここ一番で驚く事実だった。



「まあ、王家の直系ではなかったらしいんだけど。家族は皆殺しにあったらしい。
あいつは乳母と逃げ延びたんだ」


「みな・・ごろし・・」


「ルアードの手によって滅ぼされた。戦って死んだんじゃない。
捕まって殺されたんだ。憎くもなるよ」


「そ・・そうだったんだ」



_だからあんな目をしていたんだ!!!