「ミネルア！」


というヴォルスの声と共に、ナイフがレシオン目がけて飛んできた。


「うわっ！あぶね！」


カッ

という刺さる音が路地に響いた。

レシオンは間一髪、すれすれでナイフを避けた。


「あ！ヴォルス！」


「ミネルアを離せ！」


何故かとてつもなくキレているヴォルス。

恐らくレシオンを人攫いと思ったのだろう。


「ヴォルス、違うの！」


急いでレシオンから離れヴォルスに向かった。


「レシオンは迷子の私を」

「レシオン！？」


ヴォルスはその名前を聞くと、更に鋭い睨みをきかせた。


「・・・行くぞ！」


「ヴォルス・・痛いっ・・」


ヴォルスは強引にミネルアの手を引くとそのまま街に消えていった。

まるで風の様に。



「あの男。オオカミみたいだな」


レシオンは立ち尽くしたまま、二人を見送った。