その頃ルアード城下街で、ヴォルスと団長とで聞き込みをしていた。


「本当か!」


「え、ええ」



大きな声におののいているのは宿舎の亭主だ。

団長は体も大きく迫力がある。そんな団長に上から顔を近づけられたら誰もが委縮するだろう。



「団長、驚いてます」


「あ、すまね。んで、その少女ってのは」


「ルミーユに行きたいっていうんで、馬を貸してくれって。
家出したのかと思ってね。懸命に諭したんですがねぇ。
馬は貸せないって言ったら何処かに行ったんでてっきり帰ったのかと・・・」



もちろんテントに戻ってきてはいない。



「てことは、北か・・」



遠くからクルーガと旅団員達が走ってくる。


「ヴォルス!団長!あっちの宿舎で昼間馬を借りたっていう少女がいたって」


「何!?」


「北に行ったらしい」


「そうかやっぱり・・まだ追いつけるかもしれねえ!行くぞ」


と団長が言ったが、クルーガは立ち止まり俯いている。



「すんません。俺、無理ですよ。やっぱりあわせる顔ねえ・・」


「ああ?これは団長命令だ。ちゃんと謝れ」


「で、でも・・きっと俺見たら怖がらせちまう」


「そうかもしれんがちゃんと謝れ。その後の事は知ったこっちゃない。
俺はまだお前を許してねえからな。謝ったら許してやる」


「・・・」


黙りこくったクルーガの頭をヴォルスは叩いた。



「悪いと思ってるなら来い、思ってないなら来るな。それだけで十分だ」


「・・・・」


そう言われ、クルーガは拳を握りしめた。


「団長が決定したんだ。従えないなら、出て行けよ」


「・・・そう・・だな」