「昨日言ったろ?亜人でも愛するって」


そう言われ胸がキュッと苦しくなる。


「ミネルアがなんだって愛するよ」



くしゃりと少し切なそうにレシオンは言う。

レシオンはヴォルスの事を考えていた。

きっと、ミネルアはヴォルスを信じて待っている。

でも、それでもいいから伝えたかった。

今この時だけは、伝わって欲しかった。


「諦め悪いんだ。ワガママに育ったから」



そう言ってレシオンはもう一度強く抱きしめると、ミネルアを見つめる。



「お前が好きだ。嘘じゃない。身分とか人種とかそんなの関係ないんだ。
お前を考えると胸が熱くなるんだ」


真っすぐな告白を聞きミネルアは耳まで真っ赤に染まった。
同時にレシオンも。


「ただ・・それだけなんだ」


「レシオン・・」


「ハハ、ダサいな。もう振られてるのに」


バツが悪そうにレシオンは目を背ける。


「あぁ、俺も狼になれたらな。攫って何処へでも逃げるのに」


「ぷっ・・フフ・・それヴォルスの事?」


「ああ。でも俺には勇気がないんだ・・臆病だから」


「そんな事ないよ」


ドキン


「レシオンは私を守ってくれようとしてたじゃない。勇気がなきゃ出来ないよ」


「ミネルア・・」


レシオンの理性が崩壊しそうになるほど、ミネルアの仕草は愛らしかった。

とても綺麗な瞳をしていた。


「ハハ・・駄目だ・・くそ・・」

「レシオン?」

「好きだ。・・苦しいくらい・・」


ぎゅうっ

と懸命に気持ちを押し殺す様にレシオンはミネルアを抱きしめた。

本当は今にも自分のものにしてしまいたいくらいだ。