黒翼の淡恋

所詮はかごの中の鳥だと思い知らされた。

散々泣きはらしたので目が腫れた。

窓から空を見上げながら。


「どうして・・私だけ・・」


確かに思い返せば他の人間に黒髪はいない。

兵士達も沢山見たがひとりもいない。

やはり自分は魔女なんじゃないか?

そう思えた。


「何を見てる」


ドキン



背後からシリウスの声が聞こえた。


_会いたくない!こんな顔見せたくない!



「な、何も」


振り向かずに答えた。

失礼なのは百も承知だ。

肩をすくませ、怯えたようにしているティファをシリウスはすぐに察した。


「泣いてたのか?」


「ち、ちが・・」


「弱虫だな」


ズキン


何気ない言葉が胸に刺った。


「まあ、泣きたければ泣け。すっきりするだろう」


思いやりのつもりの言葉は逆に刃となってティファを傷つける。


「シリウス皇子・・嫌い」


「は?聞こえなかったぞ。はっきり言え」


「嫌い!!」


腫れた目を見られたってどうでもいいと思った。

自分を守るために。

シリウスを泣きながら睨みつけた。