黒翼の淡恋

その日、ティファはクロレラについて周りたいとフォルトに申し出た。

自分は監視されてる身だと分かっていたが。


「フォルトさん、私に何かできる事はありませんか?役に立ちたい。せめて・・お部屋の掃除とか」


「あなたは監視されている身です。ウロウロされると困ります」


「でも・・シリウス皇子に何かしてあげたいんです」


「何を言うかと思えば」


フォルトは反対した。これ以上の慣れ合いは迷惑だと言わんばかりだ。


「そう言って城を自由に出回り、情報を収集しようとする間者も多いのですよ?これ以上疑われてもいいのですか?」


「そんな・・」


ぴしゃりと言われた。


「あなたには申し訳ないと思いますが、黒髪だという事はこの国では立場が悪い。
シリウス様の足手まといになる可能性もあるんですよ?」


ガン。

と頭に衝撃が走った。


「クロレラの様にあなたを他の者と分け隔てなく見てくれる者はいません。自分の立場をわきまえてください」


「・・・・・はい」


随分と落ち込んだ。

自分が生活に慣れただけだと思い知らされた。

環境や他の人間は変ってはいない。

黒髪であることが悔しくて悔しくて、誰もいない事がわかるとベッドで一人泣きじゃくった。