黒翼の淡恋

安心していつの間にかまた眠りについたティファは、お昼までぐっすりだった。


「ティファ、そろそろ起きてくださいね」


穏やかで優しい声が聞こえる。


「お・・かあさん?」


「クスクス・・ティファ、寝ぼけてますわね?」


ごしごしと目を擦ると、目の前にはクロレラの姿があった。


「あ、クロレラさん!!」


「おはよう。と言ってももうお昼すぎですけど」


「え!?あ、すみませんっ」


ベッドの上で慌てて土下座した。


「フフ、シリウス様がお許しになられてます。ゆっくりでいいとの事でした」


「あ・・シリウス皇子は?」


テーブルの前で紅茶を入れながらクロレラは教えてくれた。


「お仕事です。昨夜はあんな事がありましたからね」


「あ・・そう・・ですよね」


落ち込んだ様子のティファにクロレラは手招きした。


「私たち女が考えても仕方のない事です。何も出来ませんから」


「クロレラさん」


しっかりとフォローしてくれる。流石は一流侍女だ。


「しっかりと食べて、元気な姿をシリウス様にお見せしてくださいね」


「はい!」


目の前に置かれた美味しそうな食事。

そして向けられた笑顔にティファは癒された。