黒翼の淡恋

無性にシリウスに触れたい衝動に駆られた。

ドキン


ドキン


ドキン


_どうか、目を覚ましません様に。



ティファは自分の頭にあったシリウスの手を持つと、両手で抱きしめた。



_守ってくれてありがとう。あの時は驚いたけど・・嬉しい気持ちが溢れてくる。
シリウス皇子の事これからも信じたいよ。



ぎゅっ。


その大きな手は自分の手を握り返した。


ドキン



シリウスの目は閉じたままだ。


_お、起こしたかな・・?


ドキドキと慌てふためいたが、シリウスは目を開ける事はなかった。

ほっとしたティファはその手にそっと口づけした。


_裏切りたくない。シリウス皇子が私を守ってくれた様に、私も・・。


脳裏によぎるのは溺れた時に思い出した記憶。

シリウスに向けられたものかはわからないが、そう胸に誓った。