クロニス帝国の北方にあるクロック海岸。

シリウス達はセシル達と共にそこへ向かった。

晴れ晴れとしている天気だ。気候もとても良い。


_なんでこうなるのっ!?


ティファは困り果てていた。

初めての馬。

それもシリウスと二人乗りだ。

移動手段を馬車にするかどうかをフォルトが考えていた矢先、シリウスの手で愛馬に前に乗せられた。


「あの・・嫌じゃないの?こんなに私が近くにいて」


「何を今更な事を。別に、こうして手足も拘束しているし平気だ」


ティファはしっかりと縄で手首、足首を締められている。

シリウスは必要ないと思っていたが、周りが心配するのでパフォーマンスのつもりで縛った。


「でも・・皆がすごく心配してる」


シリウスの警備部隊は純粋に心配している。

もし私が本物の魔女だったら、何が起きるかわからない。

フォルトは目から血が噴き出しそうな形相でこちらを睨んでいる。


「俺よりも無能なくせして何を心配しているんだあいつら」


凄い自信である。

そして部下を全く信用していない様にも聞こえる。


「うわ、兄上凄いなー。女性を同じ馬に乗せたい気持ちはわかるけど、黒髪の子を乗せるなんて・・やっぱ兄上の好みなのかなー?」


セシルとその警備部隊はまるで変人を見るかのような目でシリウスを見つめた。


「流石兄上だな。誰も真似できない事をやってのける男だ」


と感心していると


「セシル様、決して真似はなさらぬよう」


側近のジノンが心配している。


「あの子、悪い子には見えないんだよね。いかにも純粋ですっていう動きと言語だし」


「それが策の可能性もあります」


「うん、それも兄上は考えの内だと思うんだけどね。兄上もホント、何考えてるのか・・いつも読めない」


尊敬のまなざしでセシルはシリウスの背中を追いかけた。