気が付くと目の前には、心配そうにしかめた顔のシリウスがいた。
気のせいかもしれないが、少し泣きそうにも見えた。

ティファは体を起こそうとすると鋭い痛みが全身に走った。


「い・・いた」


「腕が折れてる。全身も打撲だ」


「あ・・」


自殺失敗らしい。

無我夢中だったから自殺というつもりもなかったが。


「木があったから助かった。枝に引っかかってクッションの代わりになって」


「そう・・なんだ」


「馬鹿」


ピシッ

怪我人だというのにお構いなしにでこをぴんされた。


「うぅ・・」


「無謀に走るな。ったく・・」


シリウスの顔が困っている。


「ごめんなさい・・」


ぽろ

と勝手に涙が零れた。


_助けてくれた。

私なんて、放っておいてもいい存在なのに。



「なんで・・」

「お前の監視はまだ終わってない。勝手な真似するな」

「あ・・」


_そっか。そういう事なんだね。



「フフ・・フフ」

「なんだ?気持ち悪い」


_どうしよう。嬉しい。なんで?こんなに嬉しいんだろう。
この人にとっては実験台みたいな存在なのに。目的があるから助けただけなのに。
でも、助けてくれた事自体がとっても嬉しい。



「おやすみなさい」


急に恥ずかしくなって布団にもぐった。

こんな感情が自分にあったなんて。

嬉しい。

ただただ、嬉しい。


ティファは暫く笑って、そのまままた眠りについた。