_あれ・・・?

私・・・

ここ何処?



彼女が目を開けた先に飛び込んで来たのは薄暗いレンガで作られた4畳ほどの一室。

扉には小窓があって鉄で出来た格子がはめられていた。

かびの臭いがつんと鼻先をつき、不快な気分を誘う。

まるで重石にでもなったかの様に身体が重い。

頭も殴られたみたいにズキズキと痛む。


「う・・」


ゆっくりと起き上がると、外にいた警備兵が小窓から覗き込んだ。

そして警備兵はそのままどこかへ行ってしまった。


「・・・」


彼女は座り込んだまま、小窓の方をぼーっと眺めた。

どうしてここに居るのかを思い出すためだ。

しかし思い出せなかった。


全部。

言葉以外、全部だ。