「ところで、本当に記憶がないんだな?」

「・・はい」


しゅん・・。

彼女はすぼまった。


_信じてもらえないかもしれないけど。本当に何も思い出せない。



「そう易々と信じる訳ではないが、同じ言語ということは帝国領で生活していたことには違いなさそうだな」


「そうですね。なまりもありませんし」


と二人は頷いている。


「呼ぶ名前がいる」


「名前?」


「そうですね・・黒いのでクロはどうでしょうか」


フォルトが安直に言ってきた。

むしろ考えるつもりもなさそうだ。


「お前はセンスがないな。そうだな、お前は今日から・・・」


ドキドキドキドキ・・・


「コロだ」


「え¨」



_なんか動物ぽいというか、二人のセンス一緒じゃない!?
そういう感じなの!?すごいショック。


青ざめている私を見て、二人は少し楽しそうに笑った。


「そう暗くなるな。冗談だ。」


「え・・」


_冗談とか言う人たちなの!?それとも私を馬鹿にして楽しんでいるの!?


眉間にしわをよせ嫌そうにしている彼女に、シリウスは名前を授けた。


「ティファ」


「・・ティファ?」


「仮の名はティファだ。いいな」


「・・はい」



_かわいい名前・・。


少しだけ嬉しくなった。