黒翼の淡恋

それに反応したのはシリウスだった。

ティファという名前は母親の名前のハズだからだ。


「ティファ、迎えに来たよ。一緒に帰ろう」


「まて、ティファという名は母親の名では!?」


「は?ティファは妹の名前だ。母親はヨファ」


「何だと?」


「ああそうか、母が死ぬときにお前に教えたのか・・フフ・・なるほどな」


黒い笑みを浮かべている。

シリウスはハッと思い直す。

母親に名前を聞いた時、自分に託すように娘の名前を口に出したのだと確信した。


「・・そういう事か」


男は憎しみを込めた目つきでシリウスを睨んでいる。


「ボクはあの時一部始終見ていたからな・・お前がボクたちの母親を殺したところを」


「な!?」


「あの時、森の茂みに隠れボクは一人家に帰ったのさ」


「なんだと」


「あれからずっと機会を狙っていたんだ。力をつけるまでね・・ククク」




_ではティファに俺を殺せと命じたのはこの男か。なんという卑劣な男だ。自分で来ればいいものを。


ティファの記憶との辻褄があった。


「生きているという事はしくじったという事だな。失敗か。
ティファにしては珍しいな」


「!?」


シリウスに怒りが芽生えた。

単なる妹思いの兄というわけではなさそうだった。