夕焼けも徐々に沈み、その代わりに月が輝きだした。

夜になるころには城の警備も準備万端だった。

侵入をするのは困難を極めるだろうが、兵士に扮装して来る可能性もある。

城の中には女性や他の皇子達もいる。

シリウスはフォルトに待機場所を伝え支度をしてそこへ向かった。

手紙が本当ならば必ず何かが起こるハズだ。

被害は最小限にとどめたい。

そう思ったシリウスは、城の外にある訓練場に野営を設立した。

城の前でキャンプだ。


「すべて整いました」


「フォルト、ご苦労だったな」


「はい。ティファはここに」


フォルトの後ろに隠れるようにして立っていた。

もちろん浮かない顔をしている。

自分の為に兵士たちも駆り出されていると思うだけで申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


「顔色が悪い。体調不良か?」


「・・少し」


プレッシャーでいっぱいのティファだ。

ずっと吐き気を催している。

野営のテーブルの横に小さな椅子があったので、シリウスはそこにティファを座らせた。


「あの・・私の迎えならこんな事しなくても出ていきます」


「それが本当かどうかもわからないし、事と次第によっては・・な」


「事と次第・・」


ティファにはシリウスの思っていることはわかるハズもないが、シリウスからすればティファは母親の形見の様な存在。

色んな可能性を考慮した。