黒翼の淡恋

足に大けがを負い、引きずった状態で火の手が回る森を彷徨った。


「俺は必要とされていない人間なのか?・・だからこんなこと・・皇位だって別に欲しくないのに」


未熟な少年であるシリウスは純粋にそう思った。

バキバキと音を立て、燃えた木が降りかかってきた。


_ああ、終わる・・。



と目を閉じた時、誰かが自分を救い上げた。


「だ・・誰だ」


「大丈夫?すごいケガね」


「く、黒髪・・」


「フフ、魔女だぞー」


「ひっ」


何処か楽し気な女性は自分を魔女だと言ってきたのだ。



「なーんて。なんの力も持ってないけどね。身体能力だけは高いのよね私」


「お、俺を・・殺すのか?」


「え?殺しても私の徳にならないじゃない。嫌よ面倒くさい」


「だって・・魔女なんだろ」


「ああ、世間ではそういわれてるわね。だからずっとふかーーーい谷で暮らしてきたのよ。誰にも見つからない様に」


にっこりと笑うその顔は魔女どころか天使に見えた。

温かな優しい笑顔だった。


「家に帰してあげるわ。でもその前に手当をしましょう」


母親はシリウスを軽々と抱き上げ、火の森を抜けると洞窟に入った。