どうすればいいのかわからず振り返ってディーに助けを求めれば、ディーはサマラの隣にしゃがんでニクスの子を困ったように眺めた。
「サマラ様に恩を感じて懐いちゃったんですかね」
後からテントに入ってきたカレオが、サマラにしがみついてるニクスを見て言う。ディーも眉をしかめながら「おそらくな。ニクスは人好きだ」と呟いた。
「恩? でも私、何もしてないのに」
「助けようと店主に抗議したじゃないですか。この子にとってはそれが嬉しかったんですよ、きっと」
恩を感じるなら自分よりディーにではないのだろうかと思いながらも、サマラはなんとなくニクスを引き剥がせない。自分も子供だが、小さい子がいじらしく甘えてくる姿というのはなんとも愛しいものだ。
「この子、家族はいないのかなあ」
「妖精に人間のような個別の家族という概念はない」
「それならこの子、うちへ連れて帰っちゃ駄目?」
突拍子もないことを言ったサマラに、ディーとカレオが同時に目を丸くする。けれどカレオはすぐに「それはいいですね。せっかくサマラ様に懐いてるんだし、いい遊び友達になるんじゃないですか」と朗らかに笑って手を打った。
しかしディーは渋い顔をして黙りこくっている。
「海じゃなくてもお水があれば大丈夫なんですよね? それならうちのお庭には池があるし、近くに川だってあります。ね、いいでしょう? おとーさま」
「……駄目だ」
「どうして? どうしても駄目ですか? ……どうしても?」
「サマラ様に恩を感じて懐いちゃったんですかね」
後からテントに入ってきたカレオが、サマラにしがみついてるニクスを見て言う。ディーも眉をしかめながら「おそらくな。ニクスは人好きだ」と呟いた。
「恩? でも私、何もしてないのに」
「助けようと店主に抗議したじゃないですか。この子にとってはそれが嬉しかったんですよ、きっと」
恩を感じるなら自分よりディーにではないのだろうかと思いながらも、サマラはなんとなくニクスを引き剥がせない。自分も子供だが、小さい子がいじらしく甘えてくる姿というのはなんとも愛しいものだ。
「この子、家族はいないのかなあ」
「妖精に人間のような個別の家族という概念はない」
「それならこの子、うちへ連れて帰っちゃ駄目?」
突拍子もないことを言ったサマラに、ディーとカレオが同時に目を丸くする。けれどカレオはすぐに「それはいいですね。せっかくサマラ様に懐いてるんだし、いい遊び友達になるんじゃないですか」と朗らかに笑って手を打った。
しかしディーは渋い顔をして黙りこくっている。
「海じゃなくてもお水があれば大丈夫なんですよね? それならうちのお庭には池があるし、近くに川だってあります。ね、いいでしょう? おとーさま」
「……駄目だ」
「どうして? どうしても駄目ですか? ……どうしても?」



