「おとーさま、助けてくれてありがとう。すごく怖かったけど、おとーさまが来てくれて嬉しかったよ」
サマラはお礼を述べると、ディーの首にギュッと抱きついて甘える。
正直、今日ほどディーが父親でよかったと思ったことはない。あれだけ強いカレオを苦しめた店主を、一瞬で闇の中へ葬り去ったのだ。この世界における魔法使いのすごさとディーの別格ぶりを、改めて思い知った。
ディーは杖を影の中へしまうと、抱っこしているサマラの頭を無言で優しく撫でた。
(もしかして宥めてくれてるのかな?)
大きな手が心を落ち着かせてくれるようで、サマラは安堵の思いで目を閉じる。そのまましばらく身を委ねたくなるが、ハッとしてディーの抱っこから抜け出した。
「おとーさま、お願いがあるの! あの子たちを助けてあげてください!」
サマラはさっき見た水の精の檻まで駆けていった。人々のざわつきがまだ収まらない中、ディーとカレオも後についていく。
痛々しい水の精たちの姿を見たディーは、唇をキュッと引き結んだ。そしてテントの奥へ行き、他の檻や荷物なども見て回る。
「おとーさま。おとーさまなら助けてくれますよね? 妖精は『良き隣人』なんでしょう? 敬って大切にしなくちゃいけないんでしょう?」
縋るような思いでサマラはディーに頼むが、彼は返事をしない。冷静な顔をしたまま荷物の中から一枚の書面を見つけ、それをジッと読んでいる。
「……確かに、あの店主の言う通りこの店は国の認可を得たまっとうなものだ。国の許可がある以上、領主とはいえ俺が取り締まるわけにはいかない」
「そんな!」
サマラはお礼を述べると、ディーの首にギュッと抱きついて甘える。
正直、今日ほどディーが父親でよかったと思ったことはない。あれだけ強いカレオを苦しめた店主を、一瞬で闇の中へ葬り去ったのだ。この世界における魔法使いのすごさとディーの別格ぶりを、改めて思い知った。
ディーは杖を影の中へしまうと、抱っこしているサマラの頭を無言で優しく撫でた。
(もしかして宥めてくれてるのかな?)
大きな手が心を落ち着かせてくれるようで、サマラは安堵の思いで目を閉じる。そのまましばらく身を委ねたくなるが、ハッとしてディーの抱っこから抜け出した。
「おとーさま、お願いがあるの! あの子たちを助けてあげてください!」
サマラはさっき見た水の精の檻まで駆けていった。人々のざわつきがまだ収まらない中、ディーとカレオも後についていく。
痛々しい水の精たちの姿を見たディーは、唇をキュッと引き結んだ。そしてテントの奥へ行き、他の檻や荷物なども見て回る。
「おとーさま。おとーさまなら助けてくれますよね? 妖精は『良き隣人』なんでしょう? 敬って大切にしなくちゃいけないんでしょう?」
縋るような思いでサマラはディーに頼むが、彼は返事をしない。冷静な顔をしたまま荷物の中から一枚の書面を見つけ、それをジッと読んでいる。
「……確かに、あの店主の言う通りこの店は国の認可を得たまっとうなものだ。国の許可がある以上、領主とはいえ俺が取り締まるわけにはいかない」
「そんな!」



