実際、カレオほどの剣の腕があっても今は防衛一方だ。ましてや腕の中のサマラを守りながらでは、攻撃に転じるのは難しい。
襲い掛かる枝の棘が、打ち払おうとするカレオの腕や頬の皮膚を裂く。
(カレオが押されてる……! ああ! 私に魔法が使えたら! なんでもっと早くから魔法の勉強をしなかったのよ、サマラの馬鹿ー!)
サマラは自分がもどかしい。大魔法使いの娘のくせに魔法ひとつ使えず、守ってもらうしかない自分が。
そのとき、必死に枝を薙ぎ払うカレオの頭上からカラスが急降下してきた。店主の使い魔だ。枝に気を取られていたカレオは気づくのが一瞬遅れる。
カラスは鋭いくちばしを武器にしてまっすぐにサマラを狙ってきた。気配を察知してサマラが顔を上げたときには、黒い矢じりがすぐそこに迫っていた。
「きゃあああっ!!」
「サマラ様!!」
もう避けようもないとサマラが叫んだときだった。目の前に迫っていたカラスが突然燃え上がった。
真っ赤な火に包まれて、カラスは絶叫しながらフラフラと逃げていく。
「な、なに……?」
サマラが瞬きをすると、目の前に小さな翼竜が現れた。火の精のサラマンダーに似ているが、背びれと尾びれが大きくてヒラヒラとしている。
「それがキンギョソウの精だ」
「えっ!? あのミニドクロの!?」
聞こえてきた声の内容にサマラはまずびっくりしたが、それ以上に声の主の正体に驚くべきだと気を取り直す。
「おとーさま!?」
サマラが叫んだ次の瞬間、カレオたちを襲っていたブラックソーンの枝が弾けて粉になった。
襲い掛かる枝の棘が、打ち払おうとするカレオの腕や頬の皮膚を裂く。
(カレオが押されてる……! ああ! 私に魔法が使えたら! なんでもっと早くから魔法の勉強をしなかったのよ、サマラの馬鹿ー!)
サマラは自分がもどかしい。大魔法使いの娘のくせに魔法ひとつ使えず、守ってもらうしかない自分が。
そのとき、必死に枝を薙ぎ払うカレオの頭上からカラスが急降下してきた。店主の使い魔だ。枝に気を取られていたカレオは気づくのが一瞬遅れる。
カラスは鋭いくちばしを武器にしてまっすぐにサマラを狙ってきた。気配を察知してサマラが顔を上げたときには、黒い矢じりがすぐそこに迫っていた。
「きゃあああっ!!」
「サマラ様!!」
もう避けようもないとサマラが叫んだときだった。目の前に迫っていたカラスが突然燃え上がった。
真っ赤な火に包まれて、カラスは絶叫しながらフラフラと逃げていく。
「な、なに……?」
サマラが瞬きをすると、目の前に小さな翼竜が現れた。火の精のサラマンダーに似ているが、背びれと尾びれが大きくてヒラヒラとしている。
「それがキンギョソウの精だ」
「えっ!? あのミニドクロの!?」
聞こえてきた声の内容にサマラはまずびっくりしたが、それ以上に声の主の正体に驚くべきだと気を取り直す。
「おとーさま!?」
サマラが叫んだ次の瞬間、カレオたちを襲っていたブラックソーンの枝が弾けて粉になった。



