一匹は下半身が魚の姿のメロウの女の子、一匹はアザラシの皮をかぶって泣いているセルキーの男の子、そしてもう一匹は青い肌をした美しいニクスの男の子だ。
「さあ、美しい水の精はいらんかね。今なら魔力のない者でも飼えるように、従属の首輪をつけてやるよ」
店主のオヤジが歌うように言ったのを聞いて、サマラはゾッと背が冷たくなった。
従属の首輪は妖精の嫌いな鉄で出来ている。さらにそこに痛みを与える呪詛が刻まれており、苦痛によって妖精を従わせる道具だ。ただしこれは害を及ぼす魔物を捕獲するときなどに使うものであり、決して無害な妖精の子供を捕らえるためのものではない。
「……妖精の取引は違法ではないとはいえ、ああいうやり方は見ていて気分のいいものじゃないですね」
視認の魔法がかかっているようで、カレオにも檻の中の妖精が見えるようだ。
彼は忌々しそうに顔をしかめると、悲惨な光景がこれ以上サマラの目に入らないように背を向けようとした。ところが。
「おじさん! あんたも魔法使いのはしくれなんでしょ!? 妖精の恩恵に預かってる身のくせに、どうしてそんな酷いことができるの!?」
サマラは店主をビシッと指さして、大声で叫んだ。その場にいた者たちが一斉にサマラに注目する。
カレオの抱っこから器用にスルッと抜け出したサマラは、人だかりを掻き分けて店主の前まで行った。
「こんなことしてたら、どんなに魔力があったってそのうち妖精が力を貸してくれなくなっちゃうんだからね!」
「さあ、美しい水の精はいらんかね。今なら魔力のない者でも飼えるように、従属の首輪をつけてやるよ」
店主のオヤジが歌うように言ったのを聞いて、サマラはゾッと背が冷たくなった。
従属の首輪は妖精の嫌いな鉄で出来ている。さらにそこに痛みを与える呪詛が刻まれており、苦痛によって妖精を従わせる道具だ。ただしこれは害を及ぼす魔物を捕獲するときなどに使うものであり、決して無害な妖精の子供を捕らえるためのものではない。
「……妖精の取引は違法ではないとはいえ、ああいうやり方は見ていて気分のいいものじゃないですね」
視認の魔法がかかっているようで、カレオにも檻の中の妖精が見えるようだ。
彼は忌々しそうに顔をしかめると、悲惨な光景がこれ以上サマラの目に入らないように背を向けようとした。ところが。
「おじさん! あんたも魔法使いのはしくれなんでしょ!? 妖精の恩恵に預かってる身のくせに、どうしてそんな酷いことができるの!?」
サマラは店主をビシッと指さして、大声で叫んだ。その場にいた者たちが一斉にサマラに注目する。
カレオの抱っこから器用にスルッと抜け出したサマラは、人だかりを掻き分けて店主の前まで行った。
「こんなことしてたら、どんなに魔力があったってそのうち妖精が力を貸してくれなくなっちゃうんだからね!」



