転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました

妖精に促されるままに踊っているうち、サマラは意識が朦朧としてきた。やがて頭の中は真っ白になり、ついにその場に倒れて眠り込んでしまう。

「……はしゃぎ過ぎだ。魔力を使い果たしたな」

ため息とともにそう呟いたディーが床から抱き上げてくれたことに、眠りに落ちたサマラは気がつかなかった。



サマラが目を覚ましたのは、いつもと同じ朝八時。いつものようにメイドが寝室のカーテンを開けたときだった。

「おはようございます、サマラ様」

「……おはよー。……あれ? …………あぁあっ!?」

まだ半分ウトウトしていたサマラは、昨日のことを思い出してガバッと飛び起きた。そして辺りを見回してここが自分の寝室であることを確認する。

「私、いつの間に寝ちゃってたの!?」

メイドはテキパキとカーテンを開け、洗面用の水とタオルを用意しながら淡々と答えた。

「昨夜、居間で寝られてしまったお嬢様を旦那様が部屋まで運んでくださったのですよ」
「おとーさまが!?」

驚きでサマラはすっかり眠気が吹き飛んだ。まさかディーがサマラを寝室まで運んでくれるなんて、あまりに意外だった。何かの間違いではないだろうか。
そしてサマラは再びハッとすると、時計を振り返って慌ててベッドから跳び降りた。

「おとーさまは!? おとーさまはまだいる!? 出発しちゃった!?」

えらい剣幕で尋ねてくるサマラに、メイドは洗面桶をテーブルに置きながら「旦那様ならカレオ様とお庭を散歩されています。お嬢様が起きられてから皆で朝食をとるとおっしゃっていましたよ」と答えた。

「急いでおとーさまの所に行くわ! 身支度手伝って!」