最後の命令は難しかったけれど、サマラは瞼を開かぬようにして目を開けるイメージを思い浮かべる。そして――。
「……っ!! わ、あ……っ」
サマラは感嘆の声をあげた。瞼を閉じているはずなのに部屋の様子が見える。
そして見慣れたはずの部屋は薄いベールのようなものに何重にも包まれていて虹色に光り、その空間を小さな光の粒が飛び交っていた。
「これは……」
もっと集中して見ると、光の粒は様々な形を成しているように見えてきた。蝋燭の火の回りに集う赤い蜥蜴、窓辺でカーテンを揺らして遊んでいる羽の生えた小人、花瓶の縁では色鮮やかな服を纏った小さな女の子が腰掛けている。それから、窓の外からジッとこちらを眺める頭巾姿の老婆も。
「これが妖精たちが住まう常世の景色だ。常世は我々の暮らす現世と重なっているが、魔力を持たぬ者には見えない。魔法使いとは常世と現世を繋ぐことの出来る者だ。この風景を忘れるな。妖精はいつだって、お前のすぐそばにいる。それを知ることが、魔法使いの第一歩だ」
「これが……魔法使いの見る世界……」
幻想的な風景に、サマラは感激で呆然となった。改めて自分が魔法の国にいるという実感が湧いてくる。
サマラがキョロキョロとしてると、羽の映えた小人が三匹、風のように飛んでこちらへやって来た。
「意地悪サマラだ。僕らのことが見えるようになったの?」
「ディーが魔力を貸してあげてるんでしょ。この子が自分の力で見れるはずないじゃない、ちっとも妖精を敬ってないのに」
「でも今日はマブにワインをあげてたし、ブラウニーにクリームもあげてたわ」
「……っ!! わ、あ……っ」
サマラは感嘆の声をあげた。瞼を閉じているはずなのに部屋の様子が見える。
そして見慣れたはずの部屋は薄いベールのようなものに何重にも包まれていて虹色に光り、その空間を小さな光の粒が飛び交っていた。
「これは……」
もっと集中して見ると、光の粒は様々な形を成しているように見えてきた。蝋燭の火の回りに集う赤い蜥蜴、窓辺でカーテンを揺らして遊んでいる羽の生えた小人、花瓶の縁では色鮮やかな服を纏った小さな女の子が腰掛けている。それから、窓の外からジッとこちらを眺める頭巾姿の老婆も。
「これが妖精たちが住まう常世の景色だ。常世は我々の暮らす現世と重なっているが、魔力を持たぬ者には見えない。魔法使いとは常世と現世を繋ぐことの出来る者だ。この風景を忘れるな。妖精はいつだって、お前のすぐそばにいる。それを知ることが、魔法使いの第一歩だ」
「これが……魔法使いの見る世界……」
幻想的な風景に、サマラは感激で呆然となった。改めて自分が魔法の国にいるという実感が湧いてくる。
サマラがキョロキョロとしてると、羽の映えた小人が三匹、風のように飛んでこちらへやって来た。
「意地悪サマラだ。僕らのことが見えるようになったの?」
「ディーが魔力を貸してあげてるんでしょ。この子が自分の力で見れるはずないじゃない、ちっとも妖精を敬ってないのに」
「でも今日はマブにワインをあげてたし、ブラウニーにクリームもあげてたわ」



