彼の保護下にあるサマラも今は『サマラ・ル・シァ・アリセルト』だが、成人になるまでに国の認可を受けた魔法使いになれなければ、『ル』の称号は外されてしまう。公爵位は相続できるので、また別の話だが。
「……だがお前は魔法の勉強をしていないと執事から報告を受けているぞ」
ディーの的確な指摘に、サマラは今日までの自分の生き方をとことん悔やんだ。彼の言う通りだ。大魔法使いの娘という恵まれた環境にいながら、サマラは今日までほとんど魔法の勉強をしてこなかった。庭には魔法に使う薬草がたくさん育成され、本棚には魔法や妖精に関する貴重な図鑑が揃い、家中に使い魔の妖精たちがいるというのに。
思わずうろたえそうになったが、サマラは腹を括って素直に己の馬鹿さを認める。
「おっしゃる通りです。私はおとーさまの娘でありながら、今まで魔法を真面目に学ぼうとはしませんでした。……でも、今日おとーさまとお会いして思ったのです。私も立派な魔法使いになりたいと」
真剣な様相でそう訴えると、ディーはまっすぐにサマラを見据えてきた。月色の瞳は神秘的で、心を見透かされそうな気がしてドキドキする。
うっかり目を逸らしてしまいたくなるのを我慢して見つめ返せば、ディーは「なりたければ勝手になればいい」と言って視線を外した。
一瞬ホッとしたものの、ディーは紅茶をひと口飲んでから「だが」と言葉を続ける。
「思いつきでなれるほど魔法使いは簡単なものではない。図鑑の一ページも開いたことのない者に妖精が力を貸してくれると思うな」
冷徹に言いきられて、サマラは心の中で(しまったーー!!!!)と絶叫する。
「……だがお前は魔法の勉強をしていないと執事から報告を受けているぞ」
ディーの的確な指摘に、サマラは今日までの自分の生き方をとことん悔やんだ。彼の言う通りだ。大魔法使いの娘という恵まれた環境にいながら、サマラは今日までほとんど魔法の勉強をしてこなかった。庭には魔法に使う薬草がたくさん育成され、本棚には魔法や妖精に関する貴重な図鑑が揃い、家中に使い魔の妖精たちがいるというのに。
思わずうろたえそうになったが、サマラは腹を括って素直に己の馬鹿さを認める。
「おっしゃる通りです。私はおとーさまの娘でありながら、今まで魔法を真面目に学ぼうとはしませんでした。……でも、今日おとーさまとお会いして思ったのです。私も立派な魔法使いになりたいと」
真剣な様相でそう訴えると、ディーはまっすぐにサマラを見据えてきた。月色の瞳は神秘的で、心を見透かされそうな気がしてドキドキする。
うっかり目を逸らしてしまいたくなるのを我慢して見つめ返せば、ディーは「なりたければ勝手になればいい」と言って視線を外した。
一瞬ホッとしたものの、ディーは紅茶をひと口飲んでから「だが」と言葉を続ける。
「思いつきでなれるほど魔法使いは簡単なものではない。図鑑の一ページも開いたことのない者に妖精が力を貸してくれると思うな」
冷徹に言いきられて、サマラは心の中で(しまったーー!!!!)と絶叫する。



