「だって、私はおとーさまと離れて暮らしているでしょう? だから離れていた分もおとーさまのことがいっぱい知りたいのです」
(幼子にここまで説明させるなんて! 野暮よ、野暮!)
前世でゲームをしていたときにはディーの浮世離れしていた性格がミステリアスで好きだったが、実際に家族として接してみるとそれは間違いだったなとサマラは悟った。
「知ったところで益もない。無意味だ」
淡々と言いきったディーに、サマラは笑顔のままブチ切れそうになる。『閣下もきっと、サマラ様とお喋りしたいと思ってますよ』とはなんだったのか。カレオに詰め寄りたい。
「ごめんなさい。じゃあ、質問を変えます。おとーさまは王宮でどんな魔法のお仕事をされているのですか?」
めげずに質問を続ければ、ディーは紅茶のカップを傾けながらもサマラをチラリと見やった。
「そんなことを聞いて――」
「私も将来、王宮の魔法研究所で働きたいからです!」
野暮な質問を繰り出される前に、答えを被せてやった。ちょっとだけ一矢報いたような気分になって、サマラは口角をニヤリと上げてすぐ戻す。
しかしディーは眉根を寄せてしまった。
「……なんだと?」
「私もアリセルト家の娘として、将来は魔法に携わって生きていきたいのです。おとーさまのように国から『ル』の称号を賜りたいのです」
姓につく『ル』の称号は、魔法使いに与えられる『魔爵』の称号だ。貴族の称号は『シァ』であり、魔爵位と公爵位の両方を持つディーは『ディー・ル・シァ・アリセルト』となる。
(幼子にここまで説明させるなんて! 野暮よ、野暮!)
前世でゲームをしていたときにはディーの浮世離れしていた性格がミステリアスで好きだったが、実際に家族として接してみるとそれは間違いだったなとサマラは悟った。
「知ったところで益もない。無意味だ」
淡々と言いきったディーに、サマラは笑顔のままブチ切れそうになる。『閣下もきっと、サマラ様とお喋りしたいと思ってますよ』とはなんだったのか。カレオに詰め寄りたい。
「ごめんなさい。じゃあ、質問を変えます。おとーさまは王宮でどんな魔法のお仕事をされているのですか?」
めげずに質問を続ければ、ディーは紅茶のカップを傾けながらもサマラをチラリと見やった。
「そんなことを聞いて――」
「私も将来、王宮の魔法研究所で働きたいからです!」
野暮な質問を繰り出される前に、答えを被せてやった。ちょっとだけ一矢報いたような気分になって、サマラは口角をニヤリと上げてすぐ戻す。
しかしディーは眉根を寄せてしまった。
「……なんだと?」
「私もアリセルト家の娘として、将来は魔法に携わって生きていきたいのです。おとーさまのように国から『ル』の称号を賜りたいのです」
姓につく『ル』の称号は、魔法使いに与えられる『魔爵』の称号だ。貴族の称号は『シァ』であり、魔爵位と公爵位の両方を持つディーは『ディー・ル・シァ・アリセルト』となる。



