心地よい、と感じたときには、サマラはカラドリオスの背に乗って次元の裂け目から飛び出していた。思わず「えっ?」と目を丸くして辺りを窺う。どうやら現世のもとの場所に戻ったようだ。
「行くのはあんなに大変だったのに、帰りは一瞬なのね……」
常世は本来、生身の肉体のある者が行く場所ではない。奥へ進むのは川の流れに逆らって泳ぐようなものだ。
それゆえに本来のあるべき場所へは自然に戻れる。戻る意思があり、阻む者がなければ。
サマラはハッとして顔を上げた。レヴの精神は無事に戻っただろうか。
共に常世から帰ってこられたならば、レヴの精神は自分の体に帰ったはずだ。
辺りはまだ暗く、遠くに煙と魔人の姿が見える。
「カラドリオス、レヴのもとへ行って!」
猛スピードで魔人のそばまで飛んでいったサマラは、ディーが魔力のすべてを解き放ち、闇の精霊を封じる瞬間を目の当たりにした。
辺りを見たこともない数の妖精が飛び回り、空気が金色に輝いている。
影が地面に吸い込まれるように魔人の体はだんだんと小さくなり、異形はやがて人の形へと戻っていった。
「……レヴ!」
無秩序に暴れまわっていた火も風も水も地震も収まり、空を覆っていた闇も晴れていく。
そしてもとの大きさに戻ったレヴの体からも色が抜けるように闇が消え、ついにレヴはもとの姿を取り戻した。
「レヴー!!」
サマラはカラドリオスを着地させると、その背から飛び降りて一目散にレヴに向かって駆けていった。
「レヴ、生きてる!? しっかりして!」
「行くのはあんなに大変だったのに、帰りは一瞬なのね……」
常世は本来、生身の肉体のある者が行く場所ではない。奥へ進むのは川の流れに逆らって泳ぐようなものだ。
それゆえに本来のあるべき場所へは自然に戻れる。戻る意思があり、阻む者がなければ。
サマラはハッとして顔を上げた。レヴの精神は無事に戻っただろうか。
共に常世から帰ってこられたならば、レヴの精神は自分の体に帰ったはずだ。
辺りはまだ暗く、遠くに煙と魔人の姿が見える。
「カラドリオス、レヴのもとへ行って!」
猛スピードで魔人のそばまで飛んでいったサマラは、ディーが魔力のすべてを解き放ち、闇の精霊を封じる瞬間を目の当たりにした。
辺りを見たこともない数の妖精が飛び回り、空気が金色に輝いている。
影が地面に吸い込まれるように魔人の体はだんだんと小さくなり、異形はやがて人の形へと戻っていった。
「……レヴ!」
無秩序に暴れまわっていた火も風も水も地震も収まり、空を覆っていた闇も晴れていく。
そしてもとの大きさに戻ったレヴの体からも色が抜けるように闇が消え、ついにレヴはもとの姿を取り戻した。
「レヴー!!」
サマラはカラドリオスを着地させると、その背から飛び降りて一目散にレヴに向かって駆けていった。
「レヴ、生きてる!? しっかりして!」



