「ばーか。お前の魔力でこんなとこまで来てんなよ。死んじまうだろ」
「……っ! だって……レヴを迎えに来たんだもん」
サマラも腕を伸ばし、レヴを硬く抱きしめ返す。ここは常世の深淵、肉体の概念も感覚もないはずなのに、彼の体は確かに温かかった。
泣きじゃくるサマラにレヴは優しく頬を擦り寄せながら、「ありがとう」と何度も呟いた。
そしてサマラの涙を手で拭ってやると、いつものように得意げに口角を上げて見せる。
「帰ろうぜ、現世へ」
「うん。……でも」
辺りを見回しながらサマラは不安げに眉根を寄せた。帰りもまたあの延々と続く暗闇を行かねばならないと思うと、不安はぬぐえない。そもそも方向も光もないこの場所からどうやって戻ればいいかすらわからなかった。
するとレヴはサマラの肩を抱いたまま、もう片方の手で自分の杖を取り出した。
「ここに来るまでの、お前の……所長の魔力の痕跡が残ってる。これを辿りながら一気に突破する。お前も集中しろ。かすかに残ってる所長の魔力をしっかり感じるんだ」
「わ、わかったわ」
慌ててサマラは杖を握り直し、意識を集中させる。自分の魔力だけでは到底無理だけれど、今はレヴもいるしディーの加護もある。きっと大丈夫だと思えた。
意識を集中させると自分の魔力とレヴの魔力、それにディーの魔力が交じり合うのが感じられた。
それはしばらく水と油のように揺蕩っていたけれど、やがて三人の意識がピタリと重なる。
「――!!」
その瞬間、世界が眩い光に包まれた。体が光の粒子になって猛烈な水のように流されていく。
「……っ! だって……レヴを迎えに来たんだもん」
サマラも腕を伸ばし、レヴを硬く抱きしめ返す。ここは常世の深淵、肉体の概念も感覚もないはずなのに、彼の体は確かに温かかった。
泣きじゃくるサマラにレヴは優しく頬を擦り寄せながら、「ありがとう」と何度も呟いた。
そしてサマラの涙を手で拭ってやると、いつものように得意げに口角を上げて見せる。
「帰ろうぜ、現世へ」
「うん。……でも」
辺りを見回しながらサマラは不安げに眉根を寄せた。帰りもまたあの延々と続く暗闇を行かねばならないと思うと、不安はぬぐえない。そもそも方向も光もないこの場所からどうやって戻ればいいかすらわからなかった。
するとレヴはサマラの肩を抱いたまま、もう片方の手で自分の杖を取り出した。
「ここに来るまでの、お前の……所長の魔力の痕跡が残ってる。これを辿りながら一気に突破する。お前も集中しろ。かすかに残ってる所長の魔力をしっかり感じるんだ」
「わ、わかったわ」
慌ててサマラは杖を握り直し、意識を集中させる。自分の魔力だけでは到底無理だけれど、今はレヴもいるしディーの加護もある。きっと大丈夫だと思えた。
意識を集中させると自分の魔力とレヴの魔力、それにディーの魔力が交じり合うのが感じられた。
それはしばらく水と油のように揺蕩っていたけれど、やがて三人の意識がピタリと重なる。
「――!!」
その瞬間、世界が眩い光に包まれた。体が光の粒子になって猛烈な水のように流されていく。



