自分が何者かを思い出したサマラは、自分の形を取り戻した。そして人形を抱きしめたまま、「レヴ! どこ!? レヴ!」と名を叫ぶ。
そのとき、抱きしめていた人形から声が聞こえた気がした。
驚いて見つめると、不格好な土人形は黒い髪を生やしており、魔法使い見習いの紫色の外套を着ていた。まるで、レヴのように。
「……レヴなの?」
両手に持って掲げると、土人形は「……誰だ」と小さく応えた。その声は紛れもなくレヴだ。
「レヴ! 私よ、サマラよ! あなたを助けに来たの!」
「……サマ……ラ……?」
「そうよ! レヴ、一緒に帰ろう。私たちの世界へ」
「せ、かい……」
「一緒に帰って、一緒に色々な所へ行こう。レヴ言ったでしょ、ここじゃないどこかへ行きたいって。一緒に行こう。私、レヴと世界中を旅したい。あなたが望むなら地の果てまでだって行く。風の精みたいに自由に、ふたりでどこまでも行こうよ」
サマラは夢中で語りかけた。絶対にレヴを連れ帰るという強い意志で。
自分もレヴもまだ十六歳だ。自由も幸せもまだまだこれから手に入れる。決してこんなところで終わらせたりしない。
「……好きよ、レヴ。だからもっとずっと、一緒にいて」
必死の思いを口から紡いだとき、涙が溢れた。
頬を涙が伝い思わず俯くと同時に、人形を掲げていた手がぬくもりに包まれる。
「――サマラ」
「え……っ」
正面を向くと、レヴがはにかんだように微笑んでいた。人形ではない、人の姿をしたいつもの――十六歳のレヴだ。
頬を染めたレヴは腕を伸ばしサマラをそっと抱きしめる。
そのとき、抱きしめていた人形から声が聞こえた気がした。
驚いて見つめると、不格好な土人形は黒い髪を生やしており、魔法使い見習いの紫色の外套を着ていた。まるで、レヴのように。
「……レヴなの?」
両手に持って掲げると、土人形は「……誰だ」と小さく応えた。その声は紛れもなくレヴだ。
「レヴ! 私よ、サマラよ! あなたを助けに来たの!」
「……サマ……ラ……?」
「そうよ! レヴ、一緒に帰ろう。私たちの世界へ」
「せ、かい……」
「一緒に帰って、一緒に色々な所へ行こう。レヴ言ったでしょ、ここじゃないどこかへ行きたいって。一緒に行こう。私、レヴと世界中を旅したい。あなたが望むなら地の果てまでだって行く。風の精みたいに自由に、ふたりでどこまでも行こうよ」
サマラは夢中で語りかけた。絶対にレヴを連れ帰るという強い意志で。
自分もレヴもまだ十六歳だ。自由も幸せもまだまだこれから手に入れる。決してこんなところで終わらせたりしない。
「……好きよ、レヴ。だからもっとずっと、一緒にいて」
必死の思いを口から紡いだとき、涙が溢れた。
頬を涙が伝い思わず俯くと同時に、人形を掲げていた手がぬくもりに包まれる。
「――サマラ」
「え……っ」
正面を向くと、レヴがはにかんだように微笑んでいた。人形ではない、人の姿をしたいつもの――十六歳のレヴだ。
頬を染めたレヴは腕を伸ばしサマラをそっと抱きしめる。



