ディーは空に次元の裂け目を作ると、カラドリオスごとサマラをそこに送り込んだ。以前ドラゴンを現世に召喚した手段の逆バージョンだ。
そして現世に残った自分はオークの杖を掲げ、魔人化したレヴと対峙する。
「古き魔法使い『ディー・ル・シァ・アリセルト』が命じる。西の黒き海より来たるもの、鎮まり退け。インボルグ・オスタラ・ベルテイン・リーザ・ラマス・メイボン・サウェン・ユール。世界の円環は理。死と冥府の父ドンヌの名に於いて、命の円環へと還れ」
レヴを支配している闇の精霊を、ディーは魔力で強引にねじ伏せる。
増幅したレヴの魔力を得た闇の精霊は、ディーとて簡単にどうにか出来るものではない。おそらく十八年前に戦った竜より手ごわいだろう。
そのうえディーは常世の深淵に向かったサマラを導き保護しなくてはならない。
人間の限界を超えた集中力を強いられ、頭が割れそうに痛む。血流が乱れ、気を抜くと肉体の機能が止まってしまいそうだ。
それでもディーは恐れも怯みもしない。荒れ狂う炎に囲まれ、揺れる大地に立ち続ける。
ただ目の前のレヴを救い、サマラを無事に導くことだけを願って。
その頃サマラは、カラドリオスの背に乗って常世の奥深くへ進んでいた。
常世は現世と重なりながら、その奥にさらなる世界を持っている。浅い部分は現世と重なっており見えている景色も現世と同じだが、さらに進むと妖精の国テル・ナ・ローグが見えてくる。妖精はもちろん竜や羽馬などの幻獣も多く生息しており、まさにファンタジーの世界だ。
そして現世に残った自分はオークの杖を掲げ、魔人化したレヴと対峙する。
「古き魔法使い『ディー・ル・シァ・アリセルト』が命じる。西の黒き海より来たるもの、鎮まり退け。インボルグ・オスタラ・ベルテイン・リーザ・ラマス・メイボン・サウェン・ユール。世界の円環は理。死と冥府の父ドンヌの名に於いて、命の円環へと還れ」
レヴを支配している闇の精霊を、ディーは魔力で強引にねじ伏せる。
増幅したレヴの魔力を得た闇の精霊は、ディーとて簡単にどうにか出来るものではない。おそらく十八年前に戦った竜より手ごわいだろう。
そのうえディーは常世の深淵に向かったサマラを導き保護しなくてはならない。
人間の限界を超えた集中力を強いられ、頭が割れそうに痛む。血流が乱れ、気を抜くと肉体の機能が止まってしまいそうだ。
それでもディーは恐れも怯みもしない。荒れ狂う炎に囲まれ、揺れる大地に立ち続ける。
ただ目の前のレヴを救い、サマラを無事に導くことだけを願って。
その頃サマラは、カラドリオスの背に乗って常世の奥深くへ進んでいた。
常世は現世と重なりながら、その奥にさらなる世界を持っている。浅い部分は現世と重なっており見えている景色も現世と同じだが、さらに進むと妖精の国テル・ナ・ローグが見えてくる。妖精はもちろん竜や羽馬などの幻獣も多く生息しており、まさにファンタジーの世界だ。



