「ごめんね、レヴ。助けてあげられなくて……」
そう呟いて、目を閉じたときだった。
――「サマラ!!」
サマラに向かって降り注ごうとしていた瓦礫がすべて砕け散り、塵となって吹き飛んでいった。燃え盛っていた炎はサマラを中心に沈下していき、一瞬だけ辺りが穏やかになる。
「え……?」
その隙を突くように温かな風がサマラを包み込み、体がフワリと浮き上がった。
「きゃ、あぁあぁっ!?」
風はサマラを包みながら、一瞬で空高く吹き上げた。はるか上空に放り出されたサマラの体を、逞しい腕が抱きとめる。
「お父様……!!」
「無事か、サマラ」
サマラを救ってくれたのは、巨大な鳥に乗ったディーだった。使い魔である幻獣カラドリオスの背でサマラを抱きかかえ、魔人の破壊が及ばない場所まで素早く離れる。
「お父様! レヴが……! レヴが!」
サマラは縋るようにディーに抱きついた。
レヴを救うどころか、彼を魔人化させてしまった。サマラにはもうどうしていいかわからない。
ボロボロと涙を零ししゃくりあげるサマラの背を、ディーは落ち着かせるように優しく撫でてくれる。
その手のぬくもりが嬉しくもあり、心苦しくもあった。
「ごめんなさい……ひとりで勝手なことばかりしてごめんなさい……」
レヴとの交流を禁止され、過去のあやまちを聞かされたショックもあって、サマラはディーへの信頼を失いかけていた。
けれど彼はいつだってサマラを一番に心配し、守ろうとしてくれている。レヴとの交流を禁止したのも、父親のエゴではなくサマラを忌まわしい組織や過去に関わらせたくなかったからだ。
そう呟いて、目を閉じたときだった。
――「サマラ!!」
サマラに向かって降り注ごうとしていた瓦礫がすべて砕け散り、塵となって吹き飛んでいった。燃え盛っていた炎はサマラを中心に沈下していき、一瞬だけ辺りが穏やかになる。
「え……?」
その隙を突くように温かな風がサマラを包み込み、体がフワリと浮き上がった。
「きゃ、あぁあぁっ!?」
風はサマラを包みながら、一瞬で空高く吹き上げた。はるか上空に放り出されたサマラの体を、逞しい腕が抱きとめる。
「お父様……!!」
「無事か、サマラ」
サマラを救ってくれたのは、巨大な鳥に乗ったディーだった。使い魔である幻獣カラドリオスの背でサマラを抱きかかえ、魔人の破壊が及ばない場所まで素早く離れる。
「お父様! レヴが……! レヴが!」
サマラは縋るようにディーに抱きついた。
レヴを救うどころか、彼を魔人化させてしまった。サマラにはもうどうしていいかわからない。
ボロボロと涙を零ししゃくりあげるサマラの背を、ディーは落ち着かせるように優しく撫でてくれる。
その手のぬくもりが嬉しくもあり、心苦しくもあった。
「ごめんなさい……ひとりで勝手なことばかりしてごめんなさい……」
レヴとの交流を禁止され、過去のあやまちを聞かされたショックもあって、サマラはディーへの信頼を失いかけていた。
けれど彼はいつだってサマラを一番に心配し、守ろうとしてくれている。レヴとの交流を禁止したのも、父親のエゴではなくサマラを忌まわしい組織や過去に関わらせたくなかったからだ。



