階段を上っていくリリザの声が遠ざかっていく。サマラは絶望的な気持ちでそれを聞きながら、倒れた体を起こした。
地下牢はいつの間にか火の海と化していて、つむじ風に巻き上げられた炎が轟々と唸りを上げている。
けれどサマラはここから逃げようとはしない、真っ赤に焼けた鉄格子に駆け寄り「レヴ! 元に戻って! レヴ!」と一心に呼びかける。
それでも闇に取り込まれたレヴにその声は届かない。魔人は拘束されていた手足の枷を引きちぎりながらますます巨大化し、天を仰いで轟音のような雄叫びをあげた。
「……っ!!」
サマラは咄嗟に耳を手で塞いだが、頭を殴られたような衝撃が走って動けなくなる。
魔力の籠もった雄叫びは衝撃波となり、地下牢の壁も天井も破壊する。真っ黒い魔力の柱が塔を突き抜け天にそびえたち、次の瞬間王宮の周囲は月のない夜のような闇に覆われた。
「レヴ……」
うずくまったサマラの上から、瓦礫が降り注ぐ。風の魔法でシールドを張ったが、レヴの魔力が暴走しているせいでうまく妖精を操れない。
自分の影から杖を取り出しなんとか魔法をコントロールしようとしたが、今度は足もとの炎が服の裾に燃え広がった。慌てて水を操ろうとして、うっかり風のシールドを消してしまう。サマラの技術ではふたつの魔法を同時に操るのは無理だ。
頭上から降り注いでくる瓦礫に、サマラは死を予感する。
(これで……終わり、か……。結局何も変わらなかったな。サマラは十六歳の若さで、ひとりぼっちで死んでいく。やっぱりゲームのキャラはゲームの運命に抗えないんだ……)
涙で滲んでいく瞳に、魔人化したレヴの姿がぼんやり映る。
地下牢はいつの間にか火の海と化していて、つむじ風に巻き上げられた炎が轟々と唸りを上げている。
けれどサマラはここから逃げようとはしない、真っ赤に焼けた鉄格子に駆け寄り「レヴ! 元に戻って! レヴ!」と一心に呼びかける。
それでも闇に取り込まれたレヴにその声は届かない。魔人は拘束されていた手足の枷を引きちぎりながらますます巨大化し、天を仰いで轟音のような雄叫びをあげた。
「……っ!!」
サマラは咄嗟に耳を手で塞いだが、頭を殴られたような衝撃が走って動けなくなる。
魔力の籠もった雄叫びは衝撃波となり、地下牢の壁も天井も破壊する。真っ黒い魔力の柱が塔を突き抜け天にそびえたち、次の瞬間王宮の周囲は月のない夜のような闇に覆われた。
「レヴ……」
うずくまったサマラの上から、瓦礫が降り注ぐ。風の魔法でシールドを張ったが、レヴの魔力が暴走しているせいでうまく妖精を操れない。
自分の影から杖を取り出しなんとか魔法をコントロールしようとしたが、今度は足もとの炎が服の裾に燃え広がった。慌てて水を操ろうとして、うっかり風のシールドを消してしまう。サマラの技術ではふたつの魔法を同時に操るのは無理だ。
頭上から降り注いでくる瓦礫に、サマラは死を予感する。
(これで……終わり、か……。結局何も変わらなかったな。サマラは十六歳の若さで、ひとりぼっちで死んでいく。やっぱりゲームのキャラはゲームの運命に抗えないんだ……)
涙で滲んでいく瞳に、魔人化したレヴの姿がぼんやり映る。



