転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました

シャーベリンは問題の矛先を逸らすため、サマラの非を論うことにしたのだ。それを聞いてサマラはゾッとする。自分が感情的になってしまったせいで、シャーベリンにディーを責める口実を与えてしまった。これは大失態だ。

(ああ……失敗した! 神殿と魔法使いを対立させたくなかったのに、こんな形でディーに迷惑をかけることになるなんて……)

サマラはきつく唇を噛みしめる。リリザとの対立ももう避けられないだろう。
最悪の展開にどうしていいかわからず俯くと、ディーが「リリザ・ミモランダ」とリリザを呼ぶ声が聞こえた。

「え?」

驚いて顔を上げると、ディーはシャーベリンの言葉を無視するようにリリザと向き合っていた。呼びかけられたリリザも驚いている。

「魔法研究所所長権限で命じる。本日付でお前を魔法研究所見習い退所とする。入所以来、連日お前が周囲に多大な迷惑をかけてきたことは把握している。それに加えてこの騒ぎだ。シャーベリンの貧弱な『アンチ・マジック』が広範囲に及んだのは、お前の魔力が原因だ。それほどに強大な魔力を有しながら司る理性もなく努力もしないのなら、魔法を封印しろ。二度と魔法使いを名乗るな」

「……え?」

誰もが予想していなかった展開に、リリザもシャーベリンもバレアンやホプロンも目を丸くする。サマラもだ。まさかここで、リリザに退所勧告をするとは思わなかった。

さらにディーはシャーベリンの方を向き、続けて口を開いた。