転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました

真剣に尋ねたサマラの質問に、「うそっ!?」と甲高い声をあげて立ち上がったのはリリザだった。

「どうしよう、リリザのせいだ……。さっきリリザが魔法に失敗して自分で止められなくなっちゃって、シャーベリン様に抑えてもらったから……きっとその影響が魔法研究所まで及んじゃったのかも……」

リリザは口もとに手をあてブルブルと震えると、今にも泣き出しそうに目を潤ませた。それを見たバレアン王太子が「リリザ!」と椅子から勢いよく立ち上がると、リリザのもとへ行き肩を抱き寄せる。

「気に病むな、お前のせいじゃない」

「ううん、リリザがいけないの。リリザ失敗ばっかりだし、迷惑かけてばっかりだから……。サマラが怒るのも当然だよね」

そう言って涙を零したリリザを見て、ホプロン王子がテーブルにバン!と手をついて立ち上がり、サマラに向かって怒鳴った。

「おい! リリザに謝れ! お前がいつもリリザに嫌がらせをして泣かせてることを、僕は知ってるんだぞ! これ以上リリザを傷つけるなら許さない!」

一連のやりとりを見て、サマラは目が点になる。何故事実を述べただけの自分が謝罪を要求されているのだろうか。
そもそも嫌がらせとはなんのことなのか。常にリリザのドジっ子の犠牲になって迷惑を被っているのはこちらの方なのに。

リリザはバレアン王太子の胸に取り縋って泣き、バレアン王太子とホプロン王子はきつくサマラを睨みつけている。

「去れ。今回は見逃してやるがもし今後もリリザを泣かせることがあれば、そのときは容赦しないぞ」