転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました

サマラの言葉に、レヴは驚いたように目を見開く。そしてすぐそばまで小走りで駆けてくると、真剣な形相で怒鳴った。

「馬鹿! 例えそうだとしたら、お前はみすみすやられに行くようなもんじゃねーか!」

「でも、今研究所で動けるのは私だけだから! お父様は使い魔たちの治療で手が離せないし……」

「俺がいるだろ、馬鹿! 俺が原因を調べてきてやるから、お前はここでおとなしくしてろ」

「嫌だよ、レヴを危ない目に遭わせたくない!」

「俺だってお前を危ない目に遭わせたくねーよ!」

どっちも引かないまま強く視線をぶつけ合ったあと、手を握ってきたのはレヴの方だった。

「……一緒に行くぞ、馬鹿。相手がどんな奴だろうと俺様が負けるわけないけど、危ないと思ったらお前はすぐに逃げろよ。守ってやる代わりに、俺様の足を引っ張るんじゃねーぞ」

「レヴ……! ありがとう……」

レヴはサマラの手を引いて駆け出した。握られた手がなんだか熱く感じるのは、サマラの気のせいだろうか。子供の頃から知っているレヴの手が、いつの間にか自分よりずっと大きくなっていたことに気付く。

(レヴがいてくれてよかった)

安堵を覚える胸の奥に、他の誰にも抱いたことのない気持ちが芽生えていることを、サマラは微かに感じていた。



ゲームで『アンチ・マジック』のイベントは、王宮の中庭で発生した。
その記憶を頼りに中庭へ行くと、そこには驚くべき光景が広がっていた。

「え……」

足を止めてサマラとレヴは目を疑う。