異例の覚醒で魔力に目覚めたリリザを聖書の伝説になぞらえ『奇跡の子』として、神殿に匿った理由もそこにある。要は神殿のプロバガンダだ。
そんな二百余年の事情があって、この世界には魔法と宗教という本来なら相容れぬものが同時に存在している。人々は神を信じ崇めながら、魔法使いの恩恵を受け彼らを英雄扱いしている。滑稽なことだ。
当然、当事者である魔法使いと神殿は互いを嫌悪していた。
神殿は己の権威を失墜させかねない魔法使いを憎んでおり、魔法使いは魔法と妖精の恩恵を勝手に自分の手柄にしている神殿を嫌っている。もちろんそれは、今の時代も。
「そもそも、神殿が送り込んできた時点でおかしいと思っていたんだ。奇跡の子だかなんだか知らんが、魔法研究所に害をもたらすために入所させた刺客かもしれん。排除が妥当だ」
実に腹立たし気な様子でディーは言った。
カレオとしては神殿と魔法使いの対立が露になって大事になるのを避けさせるつもりで言ったのだが、却って神殿が大嫌いなディーの怒りを煽ってしまったようだ。
なんだかエライことになりそうな予感に、サマラは密かにこめかみに汗を垂らす。
(う……。迷惑なリリザがクビになれば私は助かるけど、でも絶対うまくいくわけないと思う……)
なんたってリリザには主人公補正がついているのだ。おまけにすでにバレアン王太子とホプロン王子も味方につけている。いくらディーでも、リリザをすんなりクビには出来ないだろう。ひと悶着どころか、王家&神殿対アリセルト家の表立った抗争になりかねない。
そんな二百余年の事情があって、この世界には魔法と宗教という本来なら相容れぬものが同時に存在している。人々は神を信じ崇めながら、魔法使いの恩恵を受け彼らを英雄扱いしている。滑稽なことだ。
当然、当事者である魔法使いと神殿は互いを嫌悪していた。
神殿は己の権威を失墜させかねない魔法使いを憎んでおり、魔法使いは魔法と妖精の恩恵を勝手に自分の手柄にしている神殿を嫌っている。もちろんそれは、今の時代も。
「そもそも、神殿が送り込んできた時点でおかしいと思っていたんだ。奇跡の子だかなんだか知らんが、魔法研究所に害をもたらすために入所させた刺客かもしれん。排除が妥当だ」
実に腹立たし気な様子でディーは言った。
カレオとしては神殿と魔法使いの対立が露になって大事になるのを避けさせるつもりで言ったのだが、却って神殿が大嫌いなディーの怒りを煽ってしまったようだ。
なんだかエライことになりそうな予感に、サマラは密かにこめかみに汗を垂らす。
(う……。迷惑なリリザがクビになれば私は助かるけど、でも絶対うまくいくわけないと思う……)
なんたってリリザには主人公補正がついているのだ。おまけにすでにバレアン王太子とホプロン王子も味方につけている。いくらディーでも、リリザをすんなりクビには出来ないだろう。ひと悶着どころか、王家&神殿対アリセルト家の表立った抗争になりかねない。



