眉根を寄せ睨むようにディーに見つめられながらも、カレオは言葉を続ける。
「リリザ嬢はシャーベリン猊下のご推薦です。退所勧告など出せば、〝神殿〟との対立は避けられません。そもそも国王陛下が反対なさるでしょう」
〝神殿〟。それは魔法使いと不倶戴天ともいえる立場の組織だ。
王侯貴族の身分と同じく宗教と神殿は、メイザー大陸から魔法が消えかかっていたときに確立されたものだ。魔法が再びこの世界で大きな力を持つようになるまで、人々は人智を超えたものは皆、神の思し召しだと考え、神と神事にまつわる者たちを称え崇めてきた。
しかしメイザー大陸に魔法が復活すると、宗教の信仰は一変した。
魔法使いたちは目に見えぬ力を操り、人智の及ばざる世界に干渉できるのだ。今まで『神の奇跡』だと思われてきたことを易々とやってのける者たちが現れ、宗教は一気に勢力を失う。
それでも未だに宗教を崇める者がいて、神殿や神官が大きな権力を持っているのは、王家の後ろ盾があるからに他ならない。
王家にとっても、とてつもない力を持つ魔法使いは脅威だ。魔物退治に魔法使いの存在は欠かせないが、彼らに権力を持たせたくない。
利害の一致している王家と神殿は手を組み、国民の支持が魔法使いへ傾かないよう国を挙げて宗教の信仰を推し進めている。
『魔法もまた神が授け給うた力であり、魔物は神が与えた試練なのである』と。
常世を知る魔法使いからすれば噴飯ものであるが、世界には権力者のいうことを鵜呑みにする者も多い。効果は絶大だ。
「リリザ嬢はシャーベリン猊下のご推薦です。退所勧告など出せば、〝神殿〟との対立は避けられません。そもそも国王陛下が反対なさるでしょう」
〝神殿〟。それは魔法使いと不倶戴天ともいえる立場の組織だ。
王侯貴族の身分と同じく宗教と神殿は、メイザー大陸から魔法が消えかかっていたときに確立されたものだ。魔法が再びこの世界で大きな力を持つようになるまで、人々は人智を超えたものは皆、神の思し召しだと考え、神と神事にまつわる者たちを称え崇めてきた。
しかしメイザー大陸に魔法が復活すると、宗教の信仰は一変した。
魔法使いたちは目に見えぬ力を操り、人智の及ばざる世界に干渉できるのだ。今まで『神の奇跡』だと思われてきたことを易々とやってのける者たちが現れ、宗教は一気に勢力を失う。
それでも未だに宗教を崇める者がいて、神殿や神官が大きな権力を持っているのは、王家の後ろ盾があるからに他ならない。
王家にとっても、とてつもない力を持つ魔法使いは脅威だ。魔物退治に魔法使いの存在は欠かせないが、彼らに権力を持たせたくない。
利害の一致している王家と神殿は手を組み、国民の支持が魔法使いへ傾かないよう国を挙げて宗教の信仰を推し進めている。
『魔法もまた神が授け給うた力であり、魔物は神が与えた試練なのである』と。
常世を知る魔法使いからすれば噴飯ものであるが、世界には権力者のいうことを鵜呑みにする者も多い。効果は絶大だ。



