(それにしても……リリザはもうバレアン王太子とホプロン王子と出会っていたのね。しかもピクニックイベントが済んでるということは、わりと好感度も上がってる状態のはず)
お城の側近たちには悪いが、これはありがたいとサマラは密かに喜ぶ。
このままリリザがバレアン王太子、あるいはホプロン王子にターゲットを決めてくれればどんなに安心できるだろうか。そうすれば彼女がディーやカレオといったサマラの身近な人間とくっつくことはないのだ。
リリザがディーやカレオをターゲットにしたならどうしてもサマラとの接触も増えてしまうし、何よりふたりがリリザと恋仲になるのを見るのは、やはりつらい。ディーは最愛の父親だし、カレオのことだって家族同然に思っている。
そんなふたりが主人公補正のかかっているリリザに盲目的な恋をする姿を、サマラはきっと冷静に受け止められないだろう。
(このままバレアン王太子と恋人になってくれるとありがたいな。そこは応援するわよ、リリザ)
そんなことを考えていると、ディーが持っていたフォークを置き、顎に手をあて神妙な面持ちで口を開いた。
「あまりに周囲への迷惑が過ぎるようなら、リリザ・ミモランダの退所の勧告も視野に入れねばな」
要はクビである。この世界でも、職場で失敗を繰り返せばクビになるのが常識だ。それは魔法研究所であっても見習いであっても変わらない。最高責任者であるディーの権限ならばそれも可能だろう。しかし。
「お言葉ですが閣下。退所勧告はお控えになった方が……」
歯切れ悪くも、カレオはとっさにそれを止めた。
お城の側近たちには悪いが、これはありがたいとサマラは密かに喜ぶ。
このままリリザがバレアン王太子、あるいはホプロン王子にターゲットを決めてくれればどんなに安心できるだろうか。そうすれば彼女がディーやカレオといったサマラの身近な人間とくっつくことはないのだ。
リリザがディーやカレオをターゲットにしたならどうしてもサマラとの接触も増えてしまうし、何よりふたりがリリザと恋仲になるのを見るのは、やはりつらい。ディーは最愛の父親だし、カレオのことだって家族同然に思っている。
そんなふたりが主人公補正のかかっているリリザに盲目的な恋をする姿を、サマラはきっと冷静に受け止められないだろう。
(このままバレアン王太子と恋人になってくれるとありがたいな。そこは応援するわよ、リリザ)
そんなことを考えていると、ディーが持っていたフォークを置き、顎に手をあて神妙な面持ちで口を開いた。
「あまりに周囲への迷惑が過ぎるようなら、リリザ・ミモランダの退所の勧告も視野に入れねばな」
要はクビである。この世界でも、職場で失敗を繰り返せばクビになるのが常識だ。それは魔法研究所であっても見習いであっても変わらない。最高責任者であるディーの権限ならばそれも可能だろう。しかし。
「お言葉ですが閣下。退所勧告はお控えになった方が……」
歯切れ悪くも、カレオはとっさにそれを止めた。



