転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました

これからも彼女のドジの被害を黙って受け入れ続けなければならないのかと思うと、あまりにもつらい。サマラはひたすら憂鬱になってしまう。

今日の顛末を聞いたカレオは「それは……あまりにもひどいですね……」と顔をしかめて同情してくれた。
カレオはまだリリザと直接会ってないからか、彼女の主人公補正が効いていないらしい。
ディーも同じだ。彼は入所日初日にファーストコンタクトがあったが、特に変わりはない。接触が短かったせいか、それとも顔や態度に出ていないだけで実はリリザに少なからず好印象を持っているのか。それは今のところ謎だ。

「……実は彼女のことを最近耳にしたばかりです。なんでも、バレアン王太子殿下とホプロン王子殿下と大変親しくしているとか。先日もご公務でご多忙なバレアン殿下を強引にピクニックへ連れ出してしまったらしいです。バレアン殿下はお喜びだったそうですが、側近の女官たちはカンカンだったそうですよ。身分もわきまえず、バレアン殿下の大事なご公務を滞らせるようなことをして、と」

その話を聞いて、サマラはすぐに(あ、あのイベントだ)と納得した。
ゲームでは、公務に疲れているバレアン王太子をリリザが強引にピクニックへ誘ってリフレッシュさせてあげる好感度上昇イベントがあるのだ。
大胆で自由奔放なリリザにバレアンは『今までこんな女の子はいなかった……!』と感激して彼女に惹かれるようになるのだが、確かに側近たちからしたらいい迷惑だろう。
プレイヤーだったときには気づかなかった裏事情を知り、サマラは内心苦笑する。