残り5分くらいしかない登校の時間は、ずっとかんちゃんと喋ってた。

学校の敷地に入るくらいから、かんちゃんは色んな男に話しかけられる。

「せんぱいっ!
おはようございますっ」

なんて絶対作ってんだろってくらいキモイ声で話しかけるやつがほとんど。

まぁそれは俺のせいだけど。

かんちゃんは学校ですごい人気だし。

一緒にいる俺も見られてるわけだし。

俺がかんちゃんのこと好きなの、かんちゃん以外ほとんどみんな知ってる。

俺がかんちゃんに対してだけぶってんのもバレてる。

そのせいで、かんちゃんは可愛い男子が好きって話になったみたいで。

みんなが可愛子ぶって、かんちゃんに話しかける。

笑顔でこたえるかんちゃんは、この男がぶってんのにも気づいてないだろう。

見てんのが嫌だった俺は、かんちゃんの手を取って、

「かんちゃん。
そろそろ行こ?」

甘えた顔をつくる。

かんちゃんがこの顔に弱いの分かっててやってる。

顔を赤くしたかんちゃんが、

「ふぇっ
…うん。/////」

なんて、

か わ い す ぎ か


でも、学年違うからすぐに分かれなきゃいけない。

同い年だったらな…

何度思ったことだろ。

「ばいばいっ
授業、がんばってね!」

って笑顔で言われちゃ、かなわないし。

「ありがとっ
かんちゃんも頑張ってね!」

っていつも通り返して教室に向かう。

クラスに入ると、みんながニヤニヤしながら俺を見る。

「今日もラブラブだねっ♪
『たっちゃんっ』」

「今日の帰りもラブラブで帰るの??」

「学校でイチャイチャしちゃって、可愛いねっ!
『たっちゃん!』」

みんながからかってくる。

うぜぇ。

もうかんちゃんいないし、ぶる必要ないから。

「てめぇら、うるせぇ。黙れ。」

俺は怒ってんのに、みんな大爆笑。

「ほんとお前って先輩いないと、性格ちげぇよな。
わかりやすすぎじゃね?」

そんなんどうでもいい。

かんちゃんは気づかねぇし。

「そもそもお前ら、俺をたっちゃんって呼ぶな。
気持ち悪い。
その呼び方許されんのはかんちゃんだけ。」

そう言ってんのに、みんなたっちゃん呼びだ。

もうこいつらほっとこ。

と思って無視。

そしたらちょうどいい時に先生が来て、STが始まり、みんなが席に着いた。