まぁそんな話はほどほどにしといて、支度できたから、かんちゃんと学校へ向かう。

いつもみたいになんでもない話をしてると登校の30分とかあっという間だ。

俺はちなみに15。

かんちゃんは16。

学年がちがう。

登下校の時くらいしか話せねぇから、充電しとかないと途中で切れる。

そう思ってずっと話してるけど、毎朝毎朝、周りからの視線がうぜぇ。

なんでみんなから見られてるかって?

かんちゃんが可愛いから。

学年トップクラス、いや、学校トップクラスで可愛い。

俺が溺愛してるからそう思うだけ、とかなんかじゃなくて。

ほんとにすごいモテるから、こっちも気が気じゃないんだけど。

そんなことより、かんちゃんをじろじろ見んな。

かんちゃんに気づかれないように周りを睨む。

するとみんな目を背ける。

いつものことだ。

だけど、ここで最悪なことがおきた。

「たつき!」

聞き覚えがある声。

振り向くとそこには…


やっぱり。

今会いたくなかった。

ちょっと酷いかもしれないけど。

一応、友達だから。

ニヤニヤしながらこっちに来て、

「今日も『たっちゃん』は柑奈先輩とデート??」

なんて言ってくんのわかってた。

おまえにたっちゃんって呼ばれんのキモい。

それが許されんのかんちゃんだけだから。

「デ、デートって…!
そんなんじゃ、ないよっ」

慌てて否定するかんちゃん、可愛い。

ちょっと傷ついたけど。

すると調子にのったのか、

「柑奈先輩、かわいいですね!」

なんてほざくからイラッとする。

でもかんちゃんの前だから。

自分を落ち着かせる。

チラッとかんちゃんを見ると、

「そんなこと、ないよ…?」

ちょっと困ってる。

可愛い。

後で覚えとけよ。と友達を睨む。

もちろんかんちゃんが見てない時に。

そして、自分でもキモイと思うほど、ぶった。

「ちょっ、かんちゃんをからかわないで!
困ってるじゃん!」

俺のかんちゃんに対してだけ見せるこの態度を知ってるこいつは、ゲラゲラと笑った。

「じゃあまた、学校でな。
『たっちゃんっ』」

たっちゃんを強調すんのやめろ。

と思いながら、手を振る友達に、手を振り返した。