部室棟2階の一番角の部屋。


扉の窓には手書きで「TSE部」と書かれた紙が貼られている。


開けると普段の教室の3分の2程度の広さに長机が2つ並んでおり、周りには棚が幾つか置かれている、とてもシンプルな部室である。


ただ、本棚には天文図鑑、写真集、園芸書と、統一性がない本が並んでいたり、本棚の隣の鍵付きの棚には何やら高そうなカメラ、教室の隅には望遠鏡もある。


「菫と葵くんだ。二人一緒だったんだね」


ボブヘアーの小柄な彼女は幼馴染みの榎本 杏(えのもと あんず)

小動物みたいでとても可愛い。


その隣に座るカメラを弄っている不愛想なのが飯倉 楓(いいくら かえで)



そして一番奥の誕生日席に座る前髪が長い人が、部長の葉山 柊(はやま ひいらぎ)


TSE部は5人という少人数の部活動である。


そもそもTSE部とは、"天文部"、"写真部"、"園芸部"が合併した部になる。


なのでそれぞれをローマ字にした時の頭を取って「TSE部」なのだ。


合併されたのは私たちが入学する2年も前のことで、今ではイマイチよく分からない部活と化している。