『いいか星野。

死者と話が出来るお前は、感覚が麻痺して大事な事を忘れてるかもしれねぇ。

いくら驚かせようが気味が悪かろうが、
俺たち死者は所詮ただの“空気”だ。』


「・・・・・・・・。」


『本当に怖いのは【生きてる人間】

自分とは全く異なる考えや価値観を持ってる【他人】だぞ?

・・俺の勘っちゃ勘だが、

この事件に県警が首を突っ込んだ時点で、俺はお前らとはまた違った“嫌な予感”がしてる。

最後の最後に星野の前に立ち塞がるのは、
板尾かもしれねぇって事を忘れるな。』



「正直・・あまり実感というか・・
実態が分かってないですが・・

でも、加賀さんから頂ける情報に間違ったものは無いと思ってますので、

ありがたくアドバイス頂戴します・・。」


『グハハ!じゃあ今日の所はさっさと帰って、しっかり寝てこい。

話は戻るが、テッちゃんとお前なら必ず犯人に繋がる突破口を見つけられるはずだ。』





尿意と便意を解放していた事も忘れてしまうほど、加賀さんとの対話に夢中になっていた。


ウォシュレットで洗浄した後、

今日一日だけで濃厚に押し寄せてきた様々な出来事を反芻しながら、

明日への家路へとついた。






第6章 完