「犯人は何を恐れたんでしょうね・・?」


「よほど用心深い性格で、

今星野君が指摘した3つのリスクをそれでも尚警戒したか・・

何が何でも立石氏に顔を見られたくなかったのかもしれませんね。」


「と言うことはやっぱり顔見知り・・。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・。」


「あれ・・どうしました?」


「もし、“4つ目”のリスクを警戒していたとしたら、

今回の犯人は間違いなく、
今までで最も手強い強敵です。」


「4つ目のリスクというと・・?」


「“死者と話ができる刑事が、
被害者へ聞き込む”。」


「え・・!?」


「私と星野君の存在を警戒して、

立石氏からの証言が取れないよう最期まで顔を見られないようにした・・

といったところでしょうか。」


「ちょ・・ちょっと待ってくださいよ。

そうなると・・僕達の存在が外部に漏れてるという事ですか・・!?」



「・・・すみません。
やはり今の話は忘れてください。

仲間の皆が私達の事を誰かへ口外するとは思えません。

だから私達の事が漏れるなんて、
絶対にあり得ないと信じています。」



一瞬だけど・・“嫌な予感”が確かにこの心をよぎった。

でも豊川さんの言う通り、僕達の“力”を知っているのは刑事課の仲間のみ。


変なところに疑念を持つのはやめておこう・・。


それに、いずれにしても犯人の手掛かりが“男”以外ゼロなこの状況に変わりは無い。


立石さんを殺害したのは一体誰なのか。
この先にどんな真実が待っているのか。



「星野君。」


「あ、はい。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・?」


「“被疑者検挙率100%”が崩れる瞬間に立ち会わせてしまったら申し訳ございません。」



珍しく・・豊川さんも豊川さんで・・
“嫌な予感”を感じている様子だった・・。






第5章 完