「・・・・・スッ・・・・・・。」
足が前へ出る度、
視界が滲んでいく・・。
入り口の制服警官が私の存在に気付く前に・・既にその姿が滲んで見えなくなっていく。
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「こういう状況だからとか、
下手に同情したからとかじゃないけど、
前に話を聞いた時から、
言いたかった事がある。」
「・・スッ・・なに・・。」
「前に話を聞いた時は、絶対逆ギレされると思って言葉を飲み込んだ。」
「だからなに・・!」
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“俺は好きだよ。シズカって名前“
気がついたら、
声に出さずに嗚咽を上げていた。
気がついたら・・・・・・
見えていた警察署へ背を向けて、
声に出さずに叫んでいた。
・・・・声に出さずに・・・・
“歩いていた”はずの両足が、
アスファルトを蹴って・・
声に出さずに滲んだ視界が、
早送りのように進んで、
ただ、走り出していた。



