今日は雪が降り積もる寒い日だった。

予報では大雪だと言っていたが傘をあえて持って来なかった。

蝶子が生きていた冬の日もよく大雪だと予報があった日、あえて傘はささずふたりではしゃいで帰っていた。

あの頃の思い出に耽って雪が降る小道を歩く。

一歩一歩前に進む。

見かけによらず、蝶子はドジな女だった。

雪道でよく滑って転んでしょっちゅうすり傷を作っていた。

だけどそんな蝶子が可愛くて大好きだった。


あの頃を思い出し涙が出そうになる。

もう泣かないと決めたのに。

お願いだから、雪よ、涙を雪で消し去ってほしい。