「この49日間。最後に2人でこの部屋に住めてよかった。
悠太はもう小さくなってこの中に収まっているけど、私はそれでも幸せだった」
確かに、この49日間で喧嘩は1度もしなかったね。
できることなら、言い争いだってしたかったくらいだけどさ。
「私は負けず嫌いで往生際の悪い女だからさ、」
知ってる。喧嘩しても全然謝ってくれなかったからね。
「だからまだ悠太のこと好きでいるね」
ごめんね。と骨壷をぎゅっと握りしめる紗季。
『…こんな時には素直に謝るなんてずりぃよ』
「…こんな時だけ謝るんだって、今言ってるのかな?」
『そうだよ。紗季には敵わないな』
触れることの出来ない紗季の髪を梳かす。
時計の針が午前10時をさそうとしている。