そしてこの世に。
白骨化した俺を抱えてソファに座る紗季の隣に俺もまた同じようにして座っている。
でも、悲しいことに紗季に俺の姿は見えていない。
もちろん、声も。
つまるところ、ここまでの声も気持ちも紗季には届いていないのであって、
紗季の声もまた、この部屋に響くモノローグに過ぎない。
いや、紗季は骨になった俺に話しかけているのかもしれない。
「悠太は仏壇なんて置いて欲しくないって言うと思ったけどさ」
ホントだよ。新しい彼氏が出来た時にどうするの?
「どうしても、まだ悠太の傍にいたかったんだよね」
仏壇を置いたとて、そばにはいてあげられないよ?
「いや、寂しいだけなんだよ。本当は。
私が悠太のそばにいないと調子狂っちゃう」
紗季が悲しそうに笑った。