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愛莉へ

お久しぶりです。お元気ですか?
この手紙を読んでいるということは、俺は直接おめでとうを言えなかったんだね。
ごめんね、愛莉。
そして、入学おめでとう。
俺よりも、いい大人になるって言ってくれて嬉しかった。
愛莉はいつも、俺を基準にしてくれた。
足の速さも、年齢も、背の高さだって全部俺と勝負して、唯一勉強だけはお前の方が上だったな。
可愛い幼馴染みだよ、お前は。
これからもちゃんと、よく食べてよく寝て、大学生活を楽しんでな。
くれぐれも、変な男には引っかからないように。

P.S 1年に1回、俺からお前に手紙を送ります。生前に俺が出来る、大切な人へのプレゼントです。
あの時、お前の手紙を書きすぎて構ってやれなくて悪かった。毎年楽しみにしててね。

恭平より

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「...バカ、なんで私のために...、恭平!」

涙で少し字が滲んでしまった。
せっかくの入学式なのに、顔がぐちゃぐちゃだ。

「ありがとう、恭平」

それから、毎年誕生日に手紙が届くようになった。
19歳になった時は、10代最後を楽しめよ、と。
20歳になった時は、酒で失敗しないように、と。
21歳になった時は、俺と同い年になったね、と。