重い空気のまま、ただただ過ぎていく時間。
何をするわけでもなく、みんなただ黙り込んで、時間が過ぎていくのを待つだけ。
「……わたし、部屋に戻ります」
平林繭香が立ち上がる。
「……俺も、部屋に戻る。いつまでもここにいても仕方ないからな」
つぎに立ち上がったのは、大谷瞬だ。
「……じゃあ、わたしも戻る」
「俺も」
「そうだな。戻るか」
みんな一斉に立ち上がり、それぞれの部屋へと戻っていく。
その足取りは重く、階段を上がる音だけがひびいている。
平林繭香は部屋に戻り、ベッドへと腰掛けた。
部屋には蜂谷隆平はいなかった。
どこへ行ったんだろう、蜂谷さん。
さっきから姿を見ていない。
また何か、真相を掴んだのか、それとも……。
何も出てこないから、探しに行ってるのか。
いずれにしても、どこへも探すことはできないので、部屋でおとなしくするしかない。



