「……今はその人、どうなったんだ?」

問いかけたのは蜂谷隆平だ。



「……10年間一度も目を覚ますこともなく、そのまま家族の希望で、人工呼吸器を外して、死んだそうです」

結末は残酷なものだった。



「……その野上って人の家族は?今どうしてるんだ?」

「父が言うには、別の場所に引っ越して、田舎にひっそりと暮らしているそうですけど……。だけど家族はみんな名前も変えたため、今はどこにいるのか、行方は分かっていないそうです」

「そうか……」

「じゃあその謎っていうのは……」

「おそらく、その生き残った人がいたという事実だと思います。 だけどその他の謎については、分かりません」



おそらく、大河内すみれがここに来るように招待されたのは、当時捜査していた刑事の娘だからだろうと、7人は見立てを立てた。



「この事件は、結局全員自殺ということで処理されたみたいです。野上さんも亡くなり、手掛かりがなくなったため、捜査は打ち切りになったみたいです」